遙か紀元前の経済戦争~ポエニ戦争(T誌付録)

事情があって、なかなか、他の例会に出かけられないので、ソロプレイに励むことにします。2月最後のソロプレイ(第4弾)は、強化テーマの古代戦から「ポエニ戦争」(T誌付録)です。紀元前264年から、休戦を挟んで約80余年あまり続いた、共和制ローマ対海運国カルタゴの戦争です。

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1ターンは1年で、どちらかが占領地による決定的条件を満たすまで(あるいは合意したターンまで)、行います。カルタゴ市またはローマ市を陥落させた場合は、VPに関わらず、サドンデス勝ちとなります。

基本システムは行動ポイント制で、各指揮官は20行動ポイントを使って、移動及び戦闘を行います。各ヘクスには1移動力で進入できますが、山地越えと海上移動時には、その度に損耗チェックを行います。戦闘は同一ヘクス内で5移動力を消費して、戦力比で解決します(攻城戦は10移動力)。最後に補給判定を行い、敵地にいるなど補給切れのユニットは、冬季損耗チェックを強要されます。

際だっているのは、指揮官の能力です。指揮能力は、戦闘及び損耗時の修整となるので、極めて重要です。例えば、指揮能力3のハンニバルだと、戦闘時にdr修整+3を使用でき、かつ損耗でも平均で12%程度の損失に抑えることができます(反対に、低能力の指揮能力1だと、28%の損耗です)。史実通り、ハンニバルとヴァロが戦うと、dr修整±2となり、実質で2コラムシフトを受けることになります。

今回にプレイした第2次ポエニ戦争シナリオでは、カルタゴ将軍の指揮能力は、ハンニバルの3を最高に、全て2以上と極めて優秀です。対するローマ軍は、初期配置は全て1の指揮能力のみ。が、ターンの進行と共に、優秀な執政官が入れ替わっていくため、時間がたつほど、優位になり得ます(全11指揮官のうち、指揮能力2が2人で、3は1人です)。

初期の戦力ではカルタゴ軍がやや優勢なので、こちらが主導権を握ります。これに対し、ローマ軍は内戦の利と本国の経済力(占領軍が不要)、優秀な海軍(カルタゴ市への電撃戦の含み)で、対抗します。古い記事ですが、シミュレーター誌16号に、高梨・鹿内両氏の詳しい作戦研究とリプレイがあるので、お持ちの方は必読です。

なお、プレイに当たっては、付録のマップが小さいため、拡大の複写マップを使っています。状況判定用に、支配マーカーと籠城マーカーも自作しています。また、経済ポイントと損害数の管理がしやすいように、両軍のシートと管理ユニットも作りました。けっこう、手間暇をかけました(笑い)。

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第1ターン、宿敵ローマを打つべく、猛将ハンニバルが、満を持してイタリアへ進撃を開始します。兵力供給地となるNarbonensisとGalliaを占拠し、そのまま、ローマ軍の前線基地Massiliaへ侵攻。占領地の駐在を分派したことにより、カルタゴ軍は兵力が減っており、戦力的には五分でしたが、ローマ軍指揮官は指揮能力の差から籠城を選びます。艦隊戦力ではローマ軍が上回っているため、包囲にはなりませんが、カルタゴ軍はMassiliaの占領に成功します。残りの将軍は、占領地やヒスパニアで戦力の増強に努めます。

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対するローマ軍は、指揮官の質が低すぎるため、積極攻勢は控え、ローマ市の守りを固めます。籠城中のMassiliaでは2戦力が消耗しますが、Latium、Sicilia、Gallia Cisalpiaで動員を行い、戦力の拡充を進めます。

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<第1ターン終了時の経済力>
カルタゴ軍:50 ローマ軍:40

第2ターン、イベントでいきなり、ローマ・イリュリア戦争が勃発!Illyiaがで参戦したため、カルタゴ側は労せずして、4経済ポイントを獲得します。

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前ターンに引き続き、Massiliaを攻略中のハンニバルがGalliaからの兵員を補充し、4:1の強襲をかけます。守備隊に1戦力のダメージを与え、残りは1戦力に追い詰めます。他の将軍は、大兵站地のHispaniaとGalliaで陸軍を増強し、アルプス越えに備えます。

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ジリジリと経済力で差を付けられたローマですが、ここで早くも最強の執政官-スキピオ・アフリカヌスが登場!敵主力が北方にいるうちに、電撃的に首都を攻撃せんと、Siciliaから6陸軍+7艦隊で出撃します。優秀な指揮修正により、渡海による損耗もなく、カルタゴ市に到着。ここで、ローマ海軍とカルタゴ海軍の間に一大海戦が起こりましたが(1:1)、スキピオの的確な指揮が光り、カルタゴ軍は半数以上の艦隊を失う敗北に。

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やむを得ず、カルタゴ軍は市内に撤退・籠城します。自由を得たスキピオは、さらにMassaesylii王国に侵攻し、ここも占領してしまいます。

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北方でも中立地域の占領を進め、LuguriaとVenetiaも版図に加えます。唯一、籠城中のMassiliaでの損耗が3戦力と痛手になりますが、全般的には経済力の拡大に成功します。

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<第2ターン終了時の経済力>
カルタゴ軍:46 ローマ軍:42

第3ターン、カルタゴ本国の危機にハンニバルは反転を開始します。海軍力が不十分なため、一直線にZeugitanaに向かうことができないため、兵力を糾合しながら、スペイン半島を南下し、陸路でアフリカに向かいます。同時に、隣接するMassylii王国に、マゴが一足先に到着し、兵力の増強に努めます。

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かわりに、北方に兵力を引き継いだハシュドルバルが、8戦力で攻囲中のMassiliaを強襲!これを3年越しで陥落させます。

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敵の主力が反転したため、ローマ軍も北方での占領作戦を続けます。ローマにいた指揮官を長駆、バルカン半島に派遣し、Illyiaを占領します。同時にSiciliaから海を渡って、アフリカに増援を送り、現地での徴募と合わせて、カルタゴ市を包囲中のスキピオ軍を増強します。

<第3ターン終了時の経済力>
カルタゴ軍:42 ローマ軍:46

第4ターン、包囲下のカルタゴ市を救うべく、ハンニバルがアフリカ大陸に到着します。途中での増強と徴募により、11陸軍+5艦隊の大兵力となった救援軍が、Thapsus-次ターンに敵を捕捉できる位置に辿り着きます。

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一方、北方では経済的な均衡を覆すべく、ハシュドルバルがアルプス越えを行います。大きな損耗もなく、北イタリア平原に到達した別働隊は、Gallia Cisalpiaの首都-Ravennaを包囲します。

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ローマ本国に敵迫るの報を受け、首都にいたフォビウスが6戦力を率いて、Ravennaへ突進します。包囲中の守備隊も呼応して出撃し、2:1攻撃をかけましたが・・・必勝の気合いもむなしく、まさかの3損害!なおも、1:1攻撃をかけましたが、一方的にローマ軍が損耗しGallia Cisalpiaの奪還に失敗します。どうした、ローマの盾よ!

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こうなると、アフリカ大陸でハンニバルに対抗するどころではなくなったため、やむなくスキピオはローマに帰還します。2回の損耗チェック(渡海)でしたが、見事な指揮で損害なく、撤退に成功します。

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<第4ターン終了時の経済力>
カルタゴ軍:46 ローマ軍:48

第5ターン、敵主力が海の向こうに撤退してしまったため、ハンニバルはやむなく逃げそびれた敵の後衛を、Massaesylii王国で包囲殲滅します。逆にスキピオがローマに戻ったため、長居は無用と、ハシュドルバルの別働隊はGalliaに引き上げます。

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ローマ軍はすかさず、スキピオをもって、これを追撃!13戦力という大兵力で、電撃的にGalliaに侵攻します。ハシュドルバルはやむなくValentaiに籠城する羽目に・・・。このあたりは、ローマの内線効果が現れています。

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<第5ターン終了時の経済力>
カルタゴ軍:42 ローマ軍:56

第6ターン、ここで2つめの大きなイベントが起こります。シラクサの寝返り!Sicilia島の有力な独立都市シラクサが、ローマ支配に反旗を翻します。

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このチャンスを生かすべく、ハンニバルが海を越えて、Siciliaに侵攻します。途中の嵐で2艦隊を失うものの、LilybaeumとMessanaを電撃的に占拠し、Siciliaを制圧します。

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ローマ軍は艦隊はそれなりにいたものの、陸軍が皆無だったため、対抗できす、敵の侵攻を許します。やむなく、本国の守備隊を南下させ、艦隊を指揮するフォビウスとともに、Messanaに集結し、Siciliaを中立化し、ハンニバルを牽制します。

一方で、北伐のスキピオは、Gallia攻撃を続行!Valentaiに籠城するハシュドルバル軍を強襲し、2度の攻撃でこれを全滅させます。これで、大兵站地のGalliaがローマの支配下になります。

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<第6ターン終了時の経済力>
カルタゴ軍:46 ローマ軍:48

第7ターンから第9ターンは、Sicilia戦線と北部方面は、対照的な展開となります。Sicilia戦線では勇将ハンニバルとローマの盾フォビウスが、一歩も譲らぬ状態に。ローマ艦隊に海峡を抑えられているため、カルタゴ軍はアフリカからの増援と現地徴収により、海軍兵力を増強。陸海で大兵力同士の激戦となります。

第8ターンに、ともに10戦力以上の海軍同士で、Messana沖海戦が起こります。ここで、ハンニバルが天才的な指揮を見せ、損害比1:8でローマ海軍を全滅させます。が、陸戦では、マゴの奮闘もむなしく、消耗戦となり、Siciliaの支配は中立のままです。

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ローマ軍は、本国が近い利点を生かして、次々と陸軍を増強し、一歩も引かぬ構えです。ハンニバルはなんとか、陸軍も撃破せんと2ターンに渡って猛攻を加えますが、ローマの盾フォビウスが本領を発揮し、ここを死守。敵の冬季損耗や本国からの兵力の増強により、ついに兵力差を逆転します。

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両軍がSiciliaで消耗戦に巻き込まれている隙に、北部ではスキピオ・アフリカヌスが暴れ回ります。第7ターンにMassiliaを一撃で屠ると、海岸沿いに南下し、NarbonensisとTarraconesisを電撃占領!徐々に、経済的にカルタゴを追い詰めていきます。

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<第9ターン終了時の経済力>
カルタゴ軍:38 ローマ軍:56

消耗戦に巻き込まれ、スペイン半島が危機にさらされたカルタゴ軍は、第10ターンにやむなく、Siciliaからの撤退を開始します。全てのシフトをHispaniaに移して、スキピオの迎撃に移ります。

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ハンニバルが到着する前に、敵に打撃を与えたいローマ軍は、カルタゴ植民地の本拠Hispania攻めを強行します。Illerdaに侵攻したスキピオは、兵力的には勝るハシュドルバル率いるカルタゴ軍に、果敢に1:2攻撃(dr修整+1)を決行!drが冴え渡り、ほぼ同数まで敵をする減らすことに成功します。

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<第10ターン終了時の経済力>
カルタゴ軍:30 ローマ軍:60

戦いの焦点は、Hispaniaへ。単身で海路を渡ってスペイン入りしたハンニバルは、すぐにIllerdaに駆けつけ、スキピオと対峙します。両軍とも後背地から次々と増援を送り込み、以後、5ターンに渡って、激戦が展開されます。第11ターンは、Galliaから増援を得たローマ軍が攻撃をかけ、ほぼ互角に戦いで5から6戦力ずつを消耗します。

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第13と第14ターンは、地元の徴集兵とアフリカからの援軍を得たカルタゴ軍が逆襲!攻撃側が大きな損失を負いながら、ローマ軍を磨り減らします。

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同時にハシュドルバル率いる別働隊がTarraconesisを制圧し、補充能力の差で、徐々にスペイン半島での優勢を得ていきます。

対するローマは、スキピオがHispaniaで奮闘している間に、造反したシラクサの制圧に向かいます。本国の部隊をメッシナ海峡沿いに南下させ、第11ターンから包囲に入ります。

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裏切った都市の市民を全て奴隷にする、ローマの仕打ちを知っているシラクサは、頑強に抵抗します。が、包囲も4年目に入った第14ターンに、消耗し尽くした守備隊をローマの大軍が圧倒し、ついにシラクサが陥落します。

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<第14ターン終了時の経済力>
カルタゴ軍:26 ローマ軍:64

第2次ポエニ戦争も、いよいよ、終盤へ。激闘が続くHispaniaで、決着がつく時が・・・。第15ターン、相次ぐ損失で、ともに6戦力以下に低下していた両軍は、最後の力を振り絞って、第4次Illerda戦に臨みます。先手を取ったのが、ハンニバル。緒戦で6を出して、一気にローマ軍の半数を撃破!間髪を入れず、第二次攻撃(3:1)を決行し、2損害を受けながらも、ついにローマ軍を殲滅します。特別ルールにより、スキピオ・アフリカヌス、Hispaniaに死す・・・。

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一気に形勢を逆転したカルタゴ軍は、逆襲に転じます。兵力を増強したハンニバルが、大兵站地Galliaに侵攻し、この地を守るローマの剣マルケルスと激突。勢いに乗るカルタゴ軍は、カンネーもかくやという、空前の大勝利を収めます(損害比1:8)。マルケルスはかろうじて籠城に成功しますが、Galliaの支配はカルタゴに移ります。

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このままでは、いずれ、押し切られる・・・相次ぐ敗北に、危機を募らせたローマ軍は、一か八かの賭に出ます。シラクサ制圧を終えた大艦隊と陸軍を、そのまま、Siciliaから出撃させると、手薄になっていたZeugitanaに上陸します。カルタゴ本国、強襲!

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率いるのは、ローマの盾フォビウス!祈りを込めて、投げたダイスは・・・最高の6!鮮やかな電撃戦で、カルタゴ市が陥落し、ローマ軍のサドンデス勝利となりました。

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いやー、実にダイナミックな展開でした。序盤のカルタゴの攻勢から、ローマ軍のアフリカ電撃上陸、ハンニバルのSicilia逆上陸と大消耗のHispania戦、スキピオの戦死とフォビウスのカルタゴ市攻略・・・これだけ簡単なルールながら、二転三転する劇的な展開を十分に堪能しました。

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同じく、第2次ポエニ戦争を扱った作品に、「HANNIBAL」(Valley Game)がありますが、こちらはカードドリブンを最大限に生かしたヒストリカルな展開が楽しめます。ありとあらゆる要素を詰め込みながら、ターン設定が絶妙で2時間前後で終わり、コアな古代戦ファンから最高傑作との評価を受けています。

一方、「ポエニ戦争」(T誌付録)はよりシンプルなシステムで、古代の経済戦争を楽しめます。取っつきやすさは、こちらに軍配が上がるでしょう。ただ、勝利条件がVP勝負になると、ターン数制限のない「ポエニ戦争」(HJ)は、半日がかりになることも・・・。その場合は、ヒストリカルのターン数で勝敗を決めてもいいかもしれません(第2次ポエニ戦争ならば、17ターン)。

<追記>
ふと気がつけば、今年に入って、2アイテムをプレイしたことになりました。これで、古代戦アイテムのプレイ率が、2割を越えました。ジャンル別記事に記載していますので、そちらもご覧ください。
http://chiharakai2005.at.webry.info/201001/article_16.html

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