見た目はショボいが、駆け引きが面白い!~ブノット・ヤコブ橋(T誌付録)

久々に千葉会へ参加できるはずでしたが、急遽、飛び込んだアクシデントで、断念・・・初参加以来、3ヶ月の不参加ははじめてでした。とほほほ・・・。ならば、せめてゲームライフの充実を、ということで、今月のソロプレイ第二弾です。このところ、マイブームの中東戦争アイテムから「ブノット・ヤコブ橋」(T誌付録)です。

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付録ゲームと言っても、まだ、隔月間時代のもので、マップはコピーで、それ以外のユニットやチャートは自作の必要があります。ルールは見開き2ページで、わずか19ユニット(イスラエル軍は最大でも7ユニット!)。第4次中東戦争のゴラン高原というマイナーテーマということもあり、果たして自作の労に見合うのか、となかなか、(制作と)プレイにたどり着きませんでした(実は、存在自体を忘れていたりして・・・笑い)。

前回の「中国農場」(SPI/T誌)に引き続き、「ゴラン高原」(SPI/T誌)の準備を始めたところ、同テーマのこれを発見!このチャンスを逃したら、次はないゾ(笑い) と、いそいそと、プレイ準備に入りました。イメージは、オリジナル制作のチャート類です。

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先に述べたとおり、第4次中東戦争の激戦地-ゴラン高原の前半の戦いを扱っています。期間、マップとも、シリア軍の初期攻勢とイスラエル軍の反撃の部分を収めており、その意味では「ゴラン高原」(SPI/T誌)より、テーマに明確な絞りがかかっています。システムは、変形NAWといったところ。強ZOCにより戦闘以外の離脱が不可能で、戦闘も正面攻撃ではDrのみです。

特徴的なルールは同一師団制限で、同じ師団に属するユニットは、自らの意志では2ヘクス以上、味方から離れることができません。つまり、シリア軍は、数珠つなぎに進撃・戦闘をします。対して、イスラエル軍(IDF)は移動時は別々の師団として、自由に行動できます。また、戦闘時にもこれは適用されるので、シリア軍は有利な側面攻撃をしにくくなっています(1個師団の3ユニットでは、両サイドからの180°包囲ができないんです)。

戦闘は、参加ユニットごとにd6して、最もよいダイスを使うという、シンプルかつ斬新なものです。先の同一師団制限があるため、シリア軍は直接的に隣接していなくても、攻撃する同一師団のユニットに隣接していれば、参加できるルールがあります。最も両軍の差を際だたせているのが戦闘結果表で、シリア軍とIDFは別々のCRTを使います。シリア軍が基本的にDrしかないことに対して、IDFは1/3~2/3の確率で損耗かDeがあり、かなり強力です。

これではIDFが圧勝ではないかと思われますが、SAM(地対空ミサイル)のルールがうまく機能して、バランスをとっています。マップはSAMの射程によって3分割されていて、最もシリア寄りのCゾーンでは、シリア軍に有利に±2のdr修整がつきます。IDFはSAM制圧の空軍を投入して、この修整を無効にすることができますが、少なからずのVPを失います(各ターンの1投入ポイントにつき、1VP)。

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事前に数回のデモプレイをしてみましたが、見た目のショボさとは裏腹に(失礼!)、結構、おもしろい!!シリア軍は基本的に平押しですが、同一師団制限がある分、ユニットさばきと戦闘後前進にいろいろと頭を使います。第1ターンにラフィドのIDF機甲旅団を壊滅できると、Bゾーンへの突破と(かなり厳しいが)サドンデス勝利の可能性もあります。IDFは、早期反撃をして、シリア軍のBゾーン突破を防ぐか(成功すれば、0VP) 、戦闘に有利なヨルダン川付近まで敵を引きつけておいて反撃をかけるか、大いに悩みます。反撃時にはSAMの制圧が欠かせませんが、早期だと失敗の確率も高く、VP損失が馬鹿になりません。

イニシアチブを握っているのはIDFですが、(史実のように序盤に)状況判断を誤ったり、作戦方針がぶれたり(あるいはdrに恵まれなかったり)すると、シリア軍にも十分に勝機があります。3回の通しデモプレイでは、イスラエル軍の方針によって、全て展開と勝敗が変わりました。

その後、掲載用にソロプレイをしたのですが、ルールの不明点を、以下のように解釈しています。
1.戦闘に参加したユニット(同一師団の隣接参加を含む)は、全て、戦闘後前進ができる。
2.同一師団の移動制限(2ヘクス以上、離れてはいけない)は、戦闘後前進時も適用される。
3.包囲状態のユニットがDr2*を受けると、壊滅する(*で損耗になり、後退時に敵ZOCに進入して、損耗が重なるため)。
4.退却ヘクスに自軍ユニットがいて退却できないときは、連鎖後退ができる。

それでは、ソロAARをどうぞ。

[第1ターン]
激しい砲撃の後、一斉にDMZを越えたシリア軍3個師団は、拠点を守備するイスラエル軍に襲いかかった。SAMによる敵空軍の牽制(dr+2)と奇襲効果(dr+1)により、優勢を得た各師団は、IDF戦車旅団を圧倒し、3カ所の拠点を確保し、西進を開始した。

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対するIDFは、ラフィドの旅団がかろうじて生き延びたことに、意を強くして、早くも南部で反撃に出た。修整はきつい(dr-2)が、2ユニットによる側面攻撃で、見事、1個戦車旅団を損耗状態に陥れた。

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[第2ターン]
シリア軍は南部では第5師団のユニットで壁を作り、IDFの反撃を凌ぎながら、北部では2個師団を並列前進させ、Bゾーンへの接近を試みた。側面攻撃と巧みな戦闘後前進により、戦線を押し上げ、1個旅団を損耗させることに成功した。

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IDFはすかさず、補充を使って回復を行いながら、1個旅団を戦略移動で敵後方へ浸透させた。一方、ラフィドでも反撃を継続したが、空軍を制限されたことから、drが振るわず、Arとなった。

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[第3ターン]
IDFの増援がそろう前に、成果を上げたいシリア軍は、北部でごり押しを続け、5個ユニットがBゾーンに突入することに成功した。同時に、南部でも敵を拘束するために、反撃を実施。確率は1/3ほどしかなかったが、戦車の支援を受けた歩兵の突進で、敵の1個旅団を損耗状態にすることに成功した。

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北部か南部か?IDFは予備の投入先を迷ったが、北部の2個師団の方が脅威が大きいと判断し、突出した第9師団の戦車旅団に側背から攻撃をかけた。空軍の支援もあり、Dr2*でこれを撃滅した。一方、ほぼ同数の南部戦線は、攻撃が頓挫し、膠着状態に陥った。

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[第4ターン]
当初の突破計画まであと1ユニットとなった北部では、反撃もものともせず、1個歩兵旅団がBゾーンに突入し、IDFの10VP獲得を無効にした。

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戦力の充実がなったイスラエル軍は、空軍がSAMの一部を制圧し、両戦線で総反撃を開始した。4個旅団の攻撃でラフィドを奪還したが、全般的にはdrが精彩を欠き、敵の2個旅団を損耗状態にするに止まった。これにより、次ターンにシリア軍の予備機甲師団が介入することが確実になった。

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[第5ターン]
待機命令を解除されたシリア軍の予備隊は、絶妙なタイミングでマップに登場すると、中央付近に阻止線を張った。SAMをかいくぐって突撃してくるイスラエル空軍により、戦闘修整は無効になったので、攻撃を控え、完全な防衛戦に移行した。IDFは、Bゾーンで包囲された戦車を壊滅させたが、またもdrに恵まれず、敵の捕捉に失敗し、思った以上に戦果が上がらなかった。

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[第6ターン]
最終ターン、2カ所の拠点は守りきれると判断したシリア軍は、限定反撃に出た。膠着状態に南部に予備機甲師を投入し、正面からの集中攻撃で、包囲下にあった戦車旅団の救出に成功した。

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VPが惜しいIDFは、SAMを無視した上で全面で反撃に出たが、マップ修整で丘陵に籠もる敵(dr-3)を排除できず、2ユニットを損耗状態(0VP)にするに止まった。

終了後、VP計算をしたところ、
シリア軍  …8VP(敵の空軍投入+拠点制圧)
イスラエル軍…2VP(敵の空軍投入)
となり、史実以上に善戦したシリア軍の勝利となった。

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ユニットにイラストしかなかったり、自作が必要だったりと、コンポーネントで敬遠されてきたと思われる「ブノット・ヤコブ橋」ですが、この手のミニゲームとしては十分に合格点を与えられます。昨今のはやりの「はがき」というわけにはいきませんが、「便箋」ゲームにはなるかも?!不幸にもこのアイテムのAARを見たことはありませんが、慣れれば20分で終わるお手軽アイテムですので、例会の合間などにいかがでしょうか。もちろん、ちはら会ではいつでも挑戦を受けますよ~(今回は、けっこう、本気です!笑い)。

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この記事へのコメント

TORO
2009年04月23日 00:34
こんばんは。
いつも楽しいAARを拝見させていただいております。(特にソロプレイ:笑)
ブノット・ヤコブときいてすかさず反応してしまいました。
渋いゲームされてますね。
実は、私もAAR(というかゲーム紹介?)を準備していたんですが、
先こされちゃいましたね~。

ご指摘のとおり、集団でうねうねと機動するシリア軍と、
少数精鋭でフリーハンドが利くイスラエル軍、といった対比が
この時期のこのサイズのゲームにしてはよくできていたなぁと思います。

この号以降の隔月刊時代のTAC誌の付録ゲームって、
結構斬新なシステムを使ったものが結構あって
それなりに面白かったと思います。

因みに件のゲームですが、自作カウンタがありますので、
よろしければどうぞ。
(MustAttackでも同じハンドルですので、メッセージで
声をかけていただければOKです。)

今後も楽しいAARを期待しております。
(特にマイナーゲームの!:笑)
mitsu
2009年04月23日 20:38
こんばんは、お久しぶりです。

おお、TOROさんも準備中でしたか。こんなマイナー中のマイナアイテムなのに、取り憑かれたようにコラボすることがあるんですよね~(笑い)。前回の「中国農場」も、「ちょうど」オリジナルマップを作っていた田村さんと、速攻対戦になりましたし、4月はきっと中東の風が吹いているのに違いない!

>因みに件のゲームですが、自作カウンタがありますので、よろしければどうぞ。

当初は「見た目」で敬遠していたのでユニットまでは作りませんでしたが、オリジナルユニットがあるなら、ぜひ、見てみたいです!AARでは、損耗状態は別ゲームのDマーカーを使っていますが、ユニットの裏面を使えば、機能的に表せそうですね。

>今後も楽しいAARを期待しております。(特にマイナーゲームの!:笑)

次は、同じくマイナーの「ゴラン高原」を予定しています。噂では、バランスに難があるそうなので、オリジナルデベロップで「救済」かな、と思っています。

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