早速、砂漠戦キャンペーンをソロプレイ!~PANZER ARMEE AFRIKA(AH)

砂漠のロンメル-PANZER ARMEE AFRIKA(AH)は、もともとは1973年にSPIから発売された北アフリカキャンペーンです。それを経営難に陥ったSPIからライバル会社のAHが買い取り、ほぼ、変更なしで箱入り・ハードマップに仕上げて、83年に再デビューしました。

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デザイナーは、毀誉褒貶の激しい大量生産デザイナーのJ.ダニガン氏。アメリカのSLG業界にとっては、偉大なデザイナー兼プロデューサーで、傑作PGGやパンツァーブリッツなどを生み出しています。が、反面、雑誌付きゲームを量産するために、きちんとテストプレイやデベロップをせずに発表された作品も多く、「アイディアはすごいが、完成度は甘い」と感じています。素晴らしい傑作になるか、はたまた、しょうもない駄作か?!まるで、B級ゲームに名前を連ねるツクダ系のアイテムのようです(笑い)。

ユニットは、旅団・連隊規模で、DAKの装甲部隊のみが大隊扱いという、このクラスではオーソドックスなものです。基本シークエンスも、移動-戦闘の繰り返しで、オーバーランがある程度。ここまでなら、AHクラッシックスの「ドイツアフリカ軍団」と代わりがないのですが、最大の特徴は、砂漠戦特有の補給にあります。

このゲームでは、トラックによって搬送される補給部隊が存在し、20MP以内の戦闘ユニットに「一般補給」(攻撃力1/2・防御力通常)を与えます。これが8MP以内になると「攻撃補給」(攻撃力防御力とも通常)になり、さらに攻撃時に補給部隊を消費すれば「最大攻撃補給」(攻撃力2倍!)になります。

戦闘システムは、戦力差を使用しているので、この「最大攻撃補給」は理不尽なくらい強力です。攻撃側攻撃-防御側反撃の手順ゆえ、「最大攻撃補給」攻撃を受けると、たいていの防御側は全滅となります。防御側は、次ターンに同様の「最大攻撃補給」攻撃を仕掛けるわけで、乱戦になると、わずか1~2ターンで、戦力が1/2~1/3まで減少したりします。

このため、実際の展開は、両軍が主力を攻撃されないよう、前衛部隊でスクリーンを張り、補給部隊を前進させて、マキシマムアタックのチャンスをうかがいます。優勢側は、ひたすら、打撃戦に移るべく、主力を予備にしながら、前進をして圧力をかけます。兵力の劣る側は、敵の補給範囲を確認しながら、慎重に戦線を下げ、補充や増援によって戦力の増加を図ります。両者の兵力が整ったか、またはこれ以上、下がれないところまで、追い詰められると、主力決戦が起こります。その激しさは、上記のとおりで、3~4ターンをノーガードで打ち合うと、ほとんどの部隊は消滅してしまうことでしょう。

と、数回のソロ演習で、基本的な戦術と展開が確認が取れたところで、「今月のソロプレイ」用の「対戦」に入ります。ちなみに、イメージは、自作のアップグレード・シートです。また、ユニットの裏には、セットアップ用の番号を貼って、プレイアビリティを上げてみました。

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まず、第1ターンの連合軍のムーブです。このゲームはロンメルの反攻から始まるのに、なぜか先攻は連合軍?!史実とは異なりますが、まあ、ウルトラが解読されていたものとして、考えましょう(笑い)。

まだ、アフリカ軍団は1個装甲大隊と1個歩兵連隊だけですが、遮蔽物のないリビア奥地で、その跳躍力(60移動力!)と破壊力(英連邦軍の2倍の4戦闘力)に晒されるのは危険なので、思い切ってアークダール山地まで戦線を下げます。

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第1ターンの戦線構築のポイントになるのは#2213で、トラック部隊が#2111の補給を回収して戻れる場所です。ここには、歩兵の最大スタックを送り込み、補給部隊を守ります。そこから敵の迂回を防ぐために、メキリの補給基地をベースにして、砂漠方面に戦線を張ります。

ちなみに、第1ターンには特別ルールで、連合軍の攻撃と補給の自主破壊が禁止されています。また、枢軸軍の補給捕獲drも有利になっています。敵にできるだけ補給を渡したくない連合軍としては、地形を利用して部隊と補給を守る作戦です。最終的にはトブルク後方まで下がり、部隊の集中を待って反撃を行う予定です。

対する枢軸軍は、反撃開始直後に肩すかしを食らった形ですが、有利なうちに敵を捕捉せんと海岸沿いに補給を運搬し、主力のDAKと側面防御のイタリア軍を送り込みます。前面にオーバーランを防ぐ最低限のイタリア軍を配し、主力と予備、補給はその後ろに配置します。このゲームでは、最大攻撃補給による先制攻撃がきわめて有効なため、前面にピケットを張り、敵主力が攻撃に出てきたところを、最大補給で逆襲・殲滅することが基本戦術になります。

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もちろん、敵もこれを狙っているので、補給の前進に伴って、不利な側が、最大攻撃補給の範囲から、じりじりと戦線を下げていきます。増援到着やトブルクの包囲・攻城(二正面作戦)などで、兵力バランスが変わると、今度は立場が逆になっていきます。で、両者が決戦を望んだところで、最大攻撃補給のぶつけ合いによる、すさまじい消耗戦が起こります。増援スケジュールや補給状況などにより、だいたい、決戦場はトブルク周辺からアークダール山地になるように設定されています(ヒストリカル)。

第5ターンの大量増援が来るまでは、兵力的に苦しい連合軍ですが、トブルクに高火力ユニット(戦車)を籠もらせるため、第2ターンにアークダール山地で遅滞戦術を行います。海岸道路を歩兵2個旅団で閉鎖し、最大攻撃補給が届かない砂漠方面に戦線をのばします。これに対し、枢軸軍はDAKを集中し、2個旅団を粉砕します(14火力の通常攻撃)。イタリア軍歩兵を戦闘後前進させ、ピケットにします。このゲームでは、イタリア軍の歩兵とドイツ軍の装甲補充が比較的豊富なので、消耗が前提の前哨部隊は、両者の組み合わせか、いずれかになる場合が多いです。

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第3ターン、ここで連合軍が望めば、序盤の主力決戦でしたが、未だ、連合軍は兵力で劣る状況です。やむを得ず、トブルクとバルディアに守備隊を残し、戦線をシディ・バラニ前方まで下げます。が、ただ、殴られているだけは性に合わないので、遅滞戦術もかねて、2個歩兵旅団でイタリア軍歩兵にマキシマム・アタックをかけ、これを粉砕します(補給を消費して、敵に渡さない意味もあり)。当然、この部隊は枢軸軍ターンに逆襲で壊滅しますが、反撃を行えたことと敵の補給部隊を足止めできたことで、当初の目的を果たします。

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連合軍が思い切って後退したので、第4ターン以降、しばらく戦闘は鎮静化します。枢軸軍は、トブルク攻撃の準備を進めるため、トラックをフル回転して、補給を運搬し、それにあわせて、戦闘部隊が前進をします。第5ターンには、リビア-エジプト国境付近まで、前線を押し上げまず。補給の蓄積も順調で、第7ターンにはトブルク攻略が開始できそうです。一方の連合軍は、増援と補充で兵力を強化しながら、慎重に前線を押し上げていきます。第6ターンの終了時には、トブルクを挟んで、両軍の前線が接近し、一発触発の状況になります。枢軸軍のトブルク攻略が先か、連合軍の反撃が先か?!

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第7ターンにタッチの差で先手を取ったのは、連合軍でした(まさにクルセイダー作戦、ヒストリカル!)。トブルク包囲網の一角に、歩兵師団でマキシマム・アタックをかけ、DAK装甲大隊1個とイタリア軍歩兵連隊2個を撃破します。同時に戦線を押し上げ、臨戦態勢に入ります。ドイツ軍は、限定反撃で、この歩兵師団を全滅させますが、こちらも主力が前進をしたことで、両軍とも最大攻撃補給下に入ります。

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第8ターン、未曾有の大規模遭遇戦が、トブルク周辺で炸裂します。イギリス軍は18個旅団(!)を投入し、惜しみなく最大攻撃補給を消費し、猛攻を加えます。枢軸軍のピケット部隊が全面攻撃を受け、DAK装甲連隊1個、偵察大隊1個、イタリア軍歩兵6個、機械化歩兵1個が壊滅します。対する枢軸軍の反撃も、苛烈を極めます。こちらもマキシマム・アタックを多用し、猛反撃でイギリス軍歩兵旅団9個と戦車旅団2個を、ヴァルハラに送ります。

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第9ターン、この反撃で、兵力の半減した連合軍ですが、豊富な補給を背景に、すさまじい再反撃に転じます。温存していた戦車部隊を、敵主力のDAKに叩きつけ、マキシマム・アタック!3カ所の最大コラム攻撃などにより、DAKの背骨たる歩兵連隊3個、装甲大隊1個を撃破!さらに、イタリア軍戦車1個、機械化歩兵1個、歩兵連隊2個が壊滅します。あまりの消耗ぶりに撤退を考えた枢軸軍でしたが、あわやというところで、DAKの増援が到着!すぐさま、限定反撃で、イギリス軍歩兵旅団と戦車旅団1個ずつを全滅させます。

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第10ターン、逆に劣勢になってしまったのが、トブルク解放直前まで進んでいた連合軍でした。まだ、戦闘力を残しているものの、これ以上、消耗すると、オーバーランにより側面を突破される危険が生じたため、涙をのんで、戦線を攻撃開始ラインにまで後退させます。不毛な砂漠の激戦場に残されたのは、両軍併せて、30個旅団・連隊の屍でした!(DAK4個連隊相当、イタリア軍11個連隊、連合軍15個旅団!まさに、北アフリカ戦線!)

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お互いが兵力を磨り潰してしまった結果、一時的な膠着状況となります。連合軍は、戦線を保持しながら、大量の増援と部隊のアップグレードで戦力の回復を図ります。一方の枢軸軍は、兵力的には有利だったものの、戦車旅団のフルスタックで防備を固めたトブルクには、損耗したDAKでは歯が立たず、細々と補充で回復を図るのみ。エジプトに突進しようにも、トブルクが健在なうちは、補給路分断の危険が高く、前進できません。なけなしの前線を保持しながら、敵兵力の急速な増強を見守るしかないDAK・・・場所こそ違いますが、エルアラメインで希望が失われていく様を見るようです。

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そして、やってきたのは、連合軍の反攻作戦でした。第13ターンの小競り合いの後、第14・15ターンの大量増援(11個旅団)をバックに、イギリス軍が再び、突進を開始します。今度は、トブルク要塞内の戦車も突出し、戦闘規模が拡大します。お互いの最大攻撃補給距離から放たれる、激しい攻撃と反撃、そして再反撃!中盤の殴り合いを彷彿とさせる激戦で、両軍の損害はまたも鰻登りとなります。3ターンの戦闘で、ドイツ軍3個連隊、イタリア軍18個連隊、連合軍10個連隊の大損耗!先に手を挙げるのは、DAKか、はたまた、英連邦軍か?!

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最後に笑ったのは、連合軍の補充能力でした。戦車・歩兵ともにアップグレードしたことで、打撃力と耐甚性が向上し、たたき合いでも連合軍が戦場に踏みとどまる場面が多くなりました。一方の枢軸軍は、イタリア軍の低性能が響き、高い消耗率が続きます。第17ターン、大消耗戦に耐えきれず、枢軸軍が撤退を開始します。残った補給物資を爆破しながら、アークダール山地に後退します。ついに、トブルクが完全解放です。

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後退した枢軸軍は、最後の増援を要衝に配置し、アークダール山地に縦深陣地を引きます。このまま、終われば、連合軍の辛勝かという按配ですが、完全勝利を目指してこその北アフリカ戦ということで、補給が追いついた第19ターンから最後の攻勢に出ます。マキシマムアタックと山地の防御効果(ともに戦闘力2倍)がぶつかり合う、山岳戦になりましたが、地の利を得た枢軸軍が健闘し、敵により多くの損害を与えます。と、ここで、全ターン終了のため、タイムアップとなりました。

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得点を確認したところ、連合軍が48戦闘力が残存し、枢軸軍は45戦闘力を確保。それぞれの拠点ヘクスは確地しているので、ここまでの勝利条件としては、「枢軸軍の辛勝」扱いです。最後に、連合軍がトブルクを確保し続けたので、勝利レベルが1シフトし、最終的には「引き分け」となりました。

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原作は30年以上前ということで、かなり眉唾で見ていたのですが、どうしてどうして!強力無比のマキシマムアタックと、気が抜けないオーバーラン警戒、さらに決戦場とタイミングの決断など、一歩、間違えれば、瞬時に決着の付く緊迫感が、とても楽しかったです。両軍がミスなくプレイすれば、増援能力に勝る連合軍が有利ですが、本当の対戦でしたら、小さなミスはあるでしょうから、それをきっかけに、激しく厳しい主力決戦が何度となく起こることでしょう。トブルクが焦点になる展開も、ヒストリカル好きにも充分に納得できるものです。

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この記事へのコメント

擲弾兵
2008年05月31日 10:34
素晴らしいAARです!何だか北アフリカ物がしたくなりました…
SCSの「Africa」もヒジョーに面白そうですよ。「砂漠の狐」は興味有り、アフリカソキャソペーソは私も既プレイです。

と言っても、これからの時期は、バルバロッサ、オーバーロード、クルスク等など、大きな戦いが多くて困っちゃいますね。
mitsu
2008年05月31日 18:34
久々に北アフリカものをプレイしましたが、激しくスピーディーな機動戦がよかったです。ジャンルとしては、決して多くないアイテム数ですが、不思議と外れがないんですよね~。

「砂漠の狐」は、とてもおもしろそうです。ダミーシステムであることを除けば、十分、ソロプレイ向きのコンポーネントなんですが・・・。オークションでもミントが廉価で出ているし、一度、やってみませんか?
擲弾兵
2008年06月01日 09:39
砂漠の狐を手に入れる事は、ちょっとかなり難しそうですが、
ルールを借りたり、その場でインストできるなら、是非手合わせお願いします!
他の方のブログを読むと、そのゲームをプレイしたくなりますね(笑)
その3
2008年06月02日 01:32
PAAでは英軍のコマンドコントロールルールが陰謀ルールとして有名ですね。今回のプレイでは戦線が引けなかったり、肝心なところで攻勢が発動できなかったりする展開がなくて実はちょっと寂しいんじゃないですか、mitsuさん。
mitsu
2008年06月04日 23:54
そうなんです。イギリス軍の各ユニットは、毎ターン、1/6の確率で、混乱による攻撃不能状態になります。まあ、移動はできるので、守りに入ってるときには、影響はないんです。

が、攻勢時に複数のメインスタックが混乱すると、ゆゆしき事態に。特に、殴り合いがはじまった時だと、一方的に打ち負かされることも・・・。今回のAARにように、攻勢時に主力の混乱が少ないと、兵力で勝る連合軍が、最後には押し切ることでしょう。

SPIの原版では、混乱制限がもっと厳しく、移動も禁止になるそうです。となると、今度は守勢時にあっという間に戦線崩壊になりかねず、かなり緊迫した状態でしょうね。

攻勢時には、足並みの揃わぬ攻撃で各個撃破されたり、守勢時には、中途半端な遅滞戦術は命取りなので、安全な戦線まで思い切って後退し、スタック防備を固めたり。連合軍側の技量が高い場合は、この方がヒストリカルかも!

ろくにテストもしないで、このバランスになるとは、ダニガンは天才?それとも強運?(たぶん、両方でしょうね)

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