I Love Crete!芳醇な歴史の香り-クレタ島降下作戦(AH)

しばらく、例会もないので、今月のソロプレイを再開することにしました。実は、ブログ休止の前にも書き上げていたのですが、やっと、アップすることができました。よって、今回の題目は、「5月のソロプレイ-I Love Crete!」です。

今回のアイテムは、緑の悪魔-ドイツ軍降下猟兵が活躍する「クレタ島降下作戦」(AH)です。このゲームは、自分が2番目に購入した、懐かしの「古戦場」です。出版が1977年ですから、ほぼ、30歳。まさに「老兵は死なず」といったところかしら。

自分にとっては、かなり思い入れのある一品なので、ソロAARだけでなく、戦術研究や偏見いっぱい(?)のユニット列伝、また、きっと日を浴びることがないルール外の引用紹介など、追々と、していきたいと思います。懐かしの押し入れアイテムだけどプレイしてみたい、という奇特(!)な方がいましたら、いつでもお相手しますよ。

それでは、「I Love Crete!」第1弾-ゲーム紹介とソロAARをお届けします。

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戦線の押し合いへし合いが基本となる作戦級としては、かなり特殊なアイテムです。侵攻の主役となるドイツ軍第7航空師団(3個連隊+突撃連隊)は、当然ながら空挺降下で登場します。目的となる飛行場から4ヘクス以内(または予定地点から2ヘクス以内)と制限はありますが、その範囲に自由に降下できます。漂流のルールがあり、敵の存在や高射砲の対空射撃の修整を加え、最大で3ヘクスのスカッターが起こりえます。明確な戦線などなく、それぞれの降下地点で素早く部隊を再編成して、防御から攻撃に移ります。

[イメージは、初期配置終了後のマップ3の全景。最大の激戦地となる、西端のマレーメ・スーダ地区]
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対する連合軍は、隠蔽状態で初期配置されます。こちらも、区域の制限はありますが、その範囲にフリーセットアップです。大概の部隊は、ギリシアからの撤退戦で多くの装備を失っていますが、投入されなかったごく僅かなニュ-ジーランド軍などは、強力な戦力を保持しています。敵の降下ヘクスを予測し、高射砲・ダミーを含めて、広くあるいは集中して部隊を配置し、敵の侵攻を待ち受けます。降下後の混乱に乗じて精鋭部隊で反撃をし、その後は砲兵を軸に高地に陣取って、防御戦闘を繰り広げます。史実では、突撃連隊第3大隊が精強ニュージーランド第5旅団の陣地群のただ中に降下したことで、戦闘開始わずか1時間で、空挺部隊の全将校が死傷するという凄まじい事態も起こっています(司令部を含めた4個中隊相当が壊滅)。

[イメージは、初期配置終了後のマップ1と2の全景。上が中央部のレティモ地区、下が東端のイラクリオン地区]
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目標の3カ所の飛行場は、フルマップ2枚分の区域に点在しており、一度、投入した部隊を他の地区に転用することは、きわめて困難です(マップが机に乗り切らないことで、戦場がいかに細長いか、わかるでしょう)。初期配置と降下地点の選定(と降下判定)が、ゲームの展開を決定するわけです。お互いの作戦の読み合い-ゲームはいきなりクライマックスで、スタートすることになります。今回のソロでは、フルルールを使用したクレタ戦のキャンペーンを行いました。

[マップ全景]
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まず、敵の中枢があるスーダ地区に、第3連隊と工兵大隊(のべ4個大隊)が降下します。今回、英軍が南寄りに高射砲群(いわゆる対空砲の罠)を配置したことで、降下drが増加し、多くの中隊が敵のいるヘクスに降下したり、広範囲に拡散してしたりしてしまいます(たいていの降下戦闘では、投入兵力が少なく、CRTで+1修整がつくので、ほとんどが生き残りません)。降下失敗で2個中隊、即応反撃でさらに2個中隊が壊滅し、どちらの奇襲かわからないような混乱に陥ります。連合軍は、貴重な装甲車輛を前面に押し立てて、さらなる攻撃を続けます。

[ガラタス地区のセットアップ例。△は降下予定の中心地、鉄十字マーカーはそこから降下できる降下地点の範囲]
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続いて、最大の飛行場を持つマレーメ地区に、突撃降下連隊(最強戦力の3個大隊)が降下します。史実の作戦を参考に飛行場の西側に1個大隊を、東側に2個大隊を降下させます。drもよく比較的まとまった降下に成功し、次ターンに2個大隊に再編成して、攻撃態勢を整えます。マレーメとスーダ地区を分断された連合軍は、反撃を控え、高地に立てこもって持久戦に入ります。

[マレーメ地区のセットアップ例]
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そして、最後に投入地区を大いに悩んだ、最精鋭の突撃連隊のグライダー大隊を、東端のイラクリオンに降下させます。

このゲームの凄いところは、わずか第8ターン目に連合軍のサドンデス判定があることです(全28ターン)。第8ターン終了時に、英連邦軍が全ての飛行場を保持していると、ただちに勝利となります。これは、ドイツ軍が補給を全て、空輸に頼っていたことに由来します。降下2日目までにいずれかの飛行場を確保しないと、空挺部隊の継戦能力が著しく低下し、攻勢がとれなくなることを表しています。史実でも、奇襲降下を予測され、兵力の分散投入をしてしまったドイツ軍は、敗北一歩手前まで追いつめれています。

ドイツ軍としては、第1ターンに降下して、第2ターンに再編成を、第3ターンに攻撃を開始しても、実質は僅か6ターンしかありません(そのうち、2ターンは空軍が飛来しない夜間です)。輸送機数の都合で、第3ターンにならないと降下できないレティモとイラクリオン地区なぞ、まさにミッション・インポッシブル!しかし、その間に、なんとしても飛行場を奪取しなければならないのです。

[レティモ地区のセットアップ例]
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西から順に、マレーメ、レティモ、イラクリオンの3つの飛行場がありますが、このうち、最も可能性があるのが、第1ターンに降下できる西端のマレーメです(スーダと合わせて7個大隊)。もっとも困難なのが投入兵力が少ない中央のレティモ(2個大隊半)、ついで、それよりややましの東端のイラクリオン(3個大隊半)になります。

今回、迷ったあげく、虎の子のグライダー大隊を、東端のイラクリオン地区に投入しました。同大隊は、最強の戦力を持つだけでなく、グライダーの操作性の高さから、降下drに-2修整を得られます。主力の降下(第3ターン)に先駆けて、この先発隊で空挺堡を確保し、イラクリオン飛行場も奪取しようと目論見ます。ところが、有利なはずの降下判定で、ことごくHigh Roll!ここでも、降下失敗と反撃で3個大隊(半数以上!)が壊滅し、わずかな生き残りは、援軍が来るまで、高地に立てこもる羽目になりました。

[イラクリオン地区のセットアップ例]
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第3ターン、第2弾の空挺降下がはじまり、イラクリオンに再び、落下傘が開きます。しかし、降下drは、やはり高め。崩壊したグライダー大隊ほどではありませんが、広範囲に分散し、本国旅団の反撃を受けて、連隊司令部が壊滅します(1ユニットで7VP喪失、痛い!)。それでも、夜間に再編成を終えた3個大隊が攻撃を開始します。最東端の警戒陣地にいたギリシア軍連隊を撃破し、尾根沿いに進攻します。が、ルフトバッフェがマレーメの激戦に投入されているため、空軍の地上支援が受けられず、攻撃は頓挫します。

[第3ターンのイラクリオン降下]
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同時に、空挺降下したレティモでは、満足な兵力がないので、守備隊と対峙するのにとどまります。いかに、降下猟兵が精鋭でも2個大隊半では、まともな攻撃はできません(消耗しているとはいえ、敵は5個大隊+3個連隊!明らかにシュトゥデントの過信でしょう)。この地区は、増援の海上輸送が成功するか、イギリス軍の撤退が始まるまで、敵を牽制するのがいいところです(下手に攻撃して隙ができると、反撃で崩壊しかねません)。

[第3ターンのレティモ降下]
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そして、キャンペーンの行方を決めるマレーメ-スーダ地区です。スーダ地区では、全ての予備を投入した連合軍の攻撃で、一時は南端近くまで押し込まれますが、再編成なった工兵大隊の奮戦で、どうにか戦線が安定します。防御戦から解放された降下猟兵1個大隊を、すかさず、本命のマレーメ地区に転進させます。

[第3ターンのスーダ防衛]
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マレーメ地区では、初期の降下兵力で飛行場区域を封鎖することはできたものの、強固な丘陵陣地での消耗戦を嫌い、第3ターンは西端のキサモス海岸の確保に向かいます。そして、海上輸送で来るはずの増援を待ちます。

[第3ターンのマレーメ包囲]
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このゲームでは、第5山岳師団が海上輸送で到着する可能性があります。確率は約50%!史実では、イギリス海軍に撃退され、到着できなかったのですが、火砲や装甲部隊を含む増強大隊なので、バランスを一変させる潜在力を秘めています。今回は第1陣の到着を、もっとも全滅の可能性が低い夜間(第4ターン)にしました。上陸予定地点は、マレーメ西のキサモス海岸!

この待望の輸送船団は、ロイヤルネイビーの警戒網をくぐり抜けて、キサモス沖に到着します。一斉に上陸地点に展開すると、海岸に向かって全速力で進行します。と、ここで、飛行場に隣接する丘陵上から海岸砲台が、傲然と火を噴きます。このゲームの海岸砲台は、わずか4個ですが、きわめて強力です。各海岸に1個小隊ずつですが、火線を引ける全ての上陸部隊に対し、1度ずつ、砲撃ができます。つまり、dr3以下を出し続ければ、上陸部隊を全滅させることができます。

今回は夜間ということで、火力1/2(端数切り捨てで、1火力)でしたが、見事に命中!対戦車砲中隊が海の藻屑と化します。が、砲台の死角に入り込んだ本隊は、上陸に成功し、マレーメの空挺部隊と協力して、ギリシア軍歩兵を撃滅します。

[第3ターンのキサモス上陸と海岸砲台の活躍]
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続く、第5ターン、もとの突撃大隊に、スーダからの増援、海上輸送の山岳大隊を加えた5個大隊で、マレーメ攻略を開始します(サドンデス判定まで、あと4ターン!)。このターンは、西側の前哨陣地を攻撃します。ともに精鋭の山岳猟兵と降下猟兵が、戦車の支援を受けながら斜面をかけ上り、白兵戦に長けたニュージーランド兵を圧倒。4:1で見事、DEを出して、要衝107高地を視野に入れます。

そして、運命の第6ターン。まず、Ju88とドルニエが飛来し、高地上の対空陣地を爆撃します。対空砲が無傷でいると、地上支援が1/2になる上に、8火力の突撃破砕射撃(砲兵の防御射撃)を受けてしまうので、是が非でも、これを対空砲を叩かなければなりません。ルフトバッフェの半数をたたき込んだこの爆撃は、見事にN-2(2ターン無力化)。さらに、残りのスツーカと戦闘爆撃機が猛烈な地上支援を行い、装甲を含む3個大隊+3個中隊が集中攻撃!陣地にこもる砲兵小隊の突撃破砕射撃で、空挺1個中隊が壊滅し、オッズは3:1(dr-1)。NE(効果なし)の可能性もありましたが、ダイスは「1」でDE!ついに、107高地を占領しました。次ターンには、防御兵力を失ったマレーメ飛行場も陥落し、ついに空輸部隊の突入できる飛行場を手に入れました(サドンデスまで、あと1ターンでした)。

[第6ターンの107高地の激闘]
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これで勝敗は、最終ターン終了時に判定されることになりました。イギリス軍の勝利条件は、全ての飛行場を奪還すること。しかし、マレーメを失い、空輸部隊が続々と到着するこの状況では、まず、不可能でしょう。もう一つの条件は、ドイツ軍に75点以上の損害を与え、かつ、自軍の部隊を80点以上、撤退をさせること。ここまでの激戦で、すでに敵の損害はゆうに限界点を越えています。あとは、地図南端もしくは港湾から友軍部隊を脱出させることです。連合軍の長く苦しい撤退戦が、一転して、ドイツ軍の激しい追撃戦が開始されます。

激闘の一夜があけた第9ターン、ルフトバッフェがスーダとイラクリオンの港湾施設を猛爆撃します。結果はともにN-2で、港湾からの脱出はしばらく不可能になります。と、なると、撤退路はこれまで「サイドショー」扱いだった、イェリオイェオポリス地区のみ(ほぼマップの中央部)。撤退制限の解除された野戦病院連隊や車輛を失った(!)輸送部隊、憲兵中隊などが、戦闘部隊の援護の下、一斉に南下を開始します。が、これに、リヒトホーフェン麾下の第8航空軍(Me109とMe110)が襲いかかり、激しい交通妨害を行います(戦闘機のZOCでは、道路移動が使えない)。

[激しい交通妨害。水色がルフトバッフェの戦闘機・戦闘爆撃機。南端に向かう撤退路が、くまなく妨害を受けている。]
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後方からは、空輸増援を得た空挺・山岳猟兵の混成隊が、足止め部隊を突破し、スーダ地区に突入します。これまでの劣勢が嘘のような猛攻撃となります。少数の連合軍部隊が、ガラタス近郊で絶望的な遅滞戦術を繰り広げますが、精鋭部隊の無慈悲なまでの兵力集中と空軍の地上支援によって、High Oddsで、次々と壊滅していきます。2移動力しかない非戦闘部隊も、徐々に捕捉され、死傷者が続出します。

[次々と壊滅する連合軍部隊]
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この事態に、レティモ地区の連合軍部隊も、飛行場周辺に足止め部隊を残し、撤退路のあるイェリオイェオポリス地区に移動を開始します。空挺部隊が増援を呼ぶため、飛行場の確保を優先したため、この撤退は成功するかに見えましたが、ここで再び、海上輸送船団が姿を現します。そう、確率50%の上陸部隊が、またも英海軍の警戒網を突破し、到着したのです!上陸地点は、いまや撤退の生命線となったイェリオイェオポリス地区!全部隊が無事、上陸した増強大隊は、撤退路を約すると背後の丘陵地帯を占領します。後方からは迫り来る精鋭空挺部隊、前方には陣地にこもった重装備の山岳猟兵。まさに前門の虎、後門の狼!

この絶体絶命の危機に対し、連合軍が選んだのは、残り僅かな精鋭部隊によるイェリオイェオポリス高地の奪回でした。スーダ地区からは最強のWelch大隊を含む3個大隊が、南端からは増援の1個大隊+重戦車小隊が集結し、幹線道路を遮断する山岳猟兵大隊を攻撃します。当初は包囲攻撃だったのですが、丘陵上に陣取った8火力もの長距離砲兵が突撃粉砕射撃で連合軍の1個大隊を粉砕し、第1次攻撃は失敗。幹線道路上には、足止めされた非戦闘部隊が鈴なりに。後方では、主力の山岳・降下猟兵のスチームローラーによって、ハニアとスーダ港が陥落。逃げ場を失った弾薬管理部隊やドック中隊などが壊滅します。

[中盤のハニア陥落]
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もはや一刻の猶予もなくなった第12ターン、最後の装甲部隊(マチルダが稼働!)を加え、再び、夜間の包囲攻撃。2:1(dr-1)で、見事「1」を出し、閂の役割をしていた山岳猟兵大隊を壊滅させます。次ターンには、レティモ地区からのニュージーランド3個大隊も合流し、最後まで抵抗を続ける丘陵地の砲兵陣地をEXで粉砕し、ぎりぎりのところで撤退路の開通に成功します。道路上に渋滞していた非戦闘部隊や砲兵部隊が、雪崩をうってここを駆け抜けていきます。

[山岳大隊の壊滅と撤退路の開通]
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一方、港湾を無力化され、撤退路を失っていたイラクリオン地区にも、転機が訪れます。夜明けとともにに、爆撃機が飛来し、再び、イラクリオン港を空爆しますが、まさかの制圧失敗(1/6の確率)。奇跡的に揚陸機能を取り戻したイラクリオン港から、漁船やヨットなどに手当たり次第に乗り込んで脱出を開始します。ドック部隊の活躍で、非戦闘部隊と旅団司令部を含む戦闘部隊の3/4が、海上撤退に成功します。友軍の支援のため、最後まで敵部隊を引きつけた、1個大隊+砲兵・対空砲部隊が壊滅したのは、ゲーム終了間際のことでした。

[イラクリオンの海上撤収。丘陵で最後まで抵抗を続けた砲兵・対空砲部隊。]
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明けて5月24日、闘いは最終局面に入ります。北からは、島の中心部を制圧した山岳・降下猟兵部隊が、西からは増強された第2降下猟兵連隊が、イェリオイェオポリスに迫ります。戦闘爆撃機による執拗な交通妨害と数ターンに及ぶ上陸部隊による封鎖のため、幹線ルート上には、いまだ、多数の非戦闘部隊がひしめいています。戦闘部隊が1ユニットずつ、追撃路を塞ぎ、足止めをしますが、このままだと大半の部隊が捕捉されかねません。

この危機を救ったのが、英第42野戦工兵中隊の破壊活動でした。同中隊は、あらゆる機材が不足していたクレタ島守備隊の中で、唯一、工兵能力を有する部隊です。1ターンの間、移動・戦闘をしないことで、港湾・橋梁・荒地の道路の破壊が行えます。スーダ港の攻撃がはじまった第11ターンから退却部隊の殿となって、2カ所の道路の破壊に成功します。さらに敵の装甲部隊の進撃を止めるため、カリベス近郊の橋梁を爆破したところで、突撃大隊に捕捉され、壊滅します。

[第42野戦工兵の破壊活動]
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が、わずか1個中隊による道路網の寸断によって、北部からの追撃が2ターン分、遅れ、ついに、全ての非戦闘部隊が撤退に成功しました。第18ターン、イギリス軍の最終の抵抗拠点を陥落させ、北部と東部の空挺部隊が合流を果たしますが、連合軍の最後の通信連隊がクレタの山岳地帯を越え、南部へ脱出。5日間に及ぶ激闘に幕がおりました。

[最終ターンの山越え-撤退完了]
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勝利得点は、連合軍の撤退得点が115ポイントに、ドイツ軍の損害得点が106ポイントになり、連合軍の圧勝となりました。が、イラクリオンの奇跡の撤退(29点)と工兵による非戦闘部隊の撤退成功(あと、2ユニット分!)がなければ、勝敗はどうなっていたか、わかりません。

[ドイツ軍の損害]
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枢軸軍には、数は劣勢ながら、選りすぐりの精鋭が揃っています。いきなりクライマックスを迎える空挺降下。投機性も成功効果もきわめて高い海上輸送。前半は爆撃機が後半は戦闘機が主役となるルフトバッフェ。序盤は、時に絶望に追い込まれる苦闘の連続。が、飛行場を確保した途端に、ものの見事に逆転する戦略的状況。降下猟兵が感じたであろう焦燥と奮起が、実によく再現されています。

[降下猟兵大隊]
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連合軍には、情報の隠蔽とホームグランドで戦う利点があります。ダミーを含め、考えに考え抜いた初期配置。空挺降下・空爆を退け、突撃を粉砕する高射砲の罠。装甲部隊など小さな効果を積み重ねて一撃にかける反撃。工兵の破壊工作や沿岸汽船など、地味ながら時には勝敗を決する特殊ユニット。主導権は敵に握られながらも、耐えに耐えて、隙あらば大胆な反撃をうつ序盤。ミスの許されない、長く苦しい撤退戦を成功に導く、戦略眼。

[連合軍の守り神-砲兵]
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これだけ古いゲームですが、史実の再現性はきわめて優れています。芳醇な歴史的の香りが漂う佳作だと思います。「老兵は死なず」なにより、クレタ島攻防を扱える希少なアイテムの一つです。対戦できる機会はほとんどないでしょうが、私は、誰も挑戦でも受けるゾ。

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この記事へのコメント

Red Devesos
2006年06月03日 00:06
赤い悪魔…いや、赤いデベソです。
HNが良く変わると、yagiさんにおしかりを受けてます。
さてさて、対戦できる機会はほとんど無い…と書きつつ、このAARで対戦したくなるように仕向けてますね~。うおPさんも言ってましたが、mitsuさんの記事を読むと、ホントどんなゲームでもやってみたくなりますね。まさにAARの悪魔…
降下兵をこよなく愛するmitsu
2006年06月03日 10:40
へっへっへ。お褒めの(?)お言葉、ありがとうございます。

実のところ、あまりにもマイナー故に、「クレタ」を対戦したのは、うん十年前に数回しかありません(相手がないんだよ~)。空挺作戦は毎回、自由セットアップなので、定石が見つけにくく、やり込まないと、降下が成功したかどうかだけで、勝敗が決まることになってしまいます。運のしゲームと思われがちですね。本当は、どこに降下させるか(あるいは誘い込むか)、目的と兵力評価・配分がしっかりしている方が確実に勝利する、きわめて作戦思考の高いジャンルなんですけどね。

(ASLと一緒で)インストがないと、おもしろさがわかるまでに、時間がかかる→あたりかどうかわからないのにそんなに時間はかけられない→興味はあるけど押し入れ行き、ってパターンかな。
逆に、一度、システムがわかれば、リプレイアビリティはきわめて高いので、あーだこうだと繰り返し楽しめるんですよ。
絶対、再版なんてないけど、クレタ好きのmitsu
2006年06月03日 10:44
ついでに・・。

今回、ちょっと新しい形で、ソロAAR&解説を載せてみたのも、どうせ、対戦の機会はほとんどない(!)だろうから、自分なりに愛する空挺兵を紹介したいという、後家の一念でしょう(笑い)。SLGは、ゲーム展開なんてそっちのけでも、背景を知れば知るほど楽しくなる希有な趣味ですから、個人的には十分、面白いです。あやしい宗教よろしく、一人でも空挺好きが増えれば、本望ですって(?)。
緑の狸
2006年06月03日 19:48
またまたHNが変わって登場です。
ちょっと、最近ヤフオクできになっているのですが、GMTからでているクレタ島のゲームはどんなモンでしょうか?「OperationMercenary」でしたっけ?かなりの高値で売れていますが…とりあえず箱絵はかっこいい。
空挺ネタなら、お任せのmitsu
2006年06月03日 23:09
ご指摘の「Operation Mercury」ですが、1992年出版のクレタ戦役です。デザイナーはなんと「クレタ島降下作戦」と同じく、Vance von Borries!15年後に、全く同じテーマで「復活」したわけです。この人は、「チュニジア大突破」(HJ)とか、「シシリー侵攻作戦」(CMJ)など、地中海戦域を舞台にした、精密作戦級ばっかり作っています。まるで、Mrバルジこと、ダニー・パーカーみたい。

肝心のゲームはというと、ユニットは(ギリシア軍を除いて)中隊単位で、突撃大隊所属のユニットには、中隊長の実名が入る凝りよう。その代わり、AH版で楽しませてくれた(無駄だった?)非戦闘ユニットのみなさんは出てきません。マップはフルマップ2枚になりましたが、よくみるとマップスケールはほぼ一緒です。ルールを一読したところ、新たに練度や砲撃戦、空軍効果などが、詳しくなっています(シシリーに似ています)。つまり、余計なものをそぎ落として、中隊単位の戦闘を精密に再現したものだと思います。
アルンヘムの赤いきつね~mitsu
2006年06月03日 23:11
長いといわれたので、新コメントで。

しかし、こだわりのBorriesさんが、それだけで新版を出すはずがありません。最も大きな追加が、海軍ルール。なんと、駆逐艦以上が全て1隻ずつ、シルエットと艦名入りで登場し、海域マップ上で、輸送船団の迎撃や守備隊の撤退援護をします。この海戦だけのシナリオも用意されているくらいで、まさに「精密作戦級の鬼」です。

それでもプレイしてみたいと思わせるのは、丁寧なコンポーネントにあります。CMJ版の「シシリー」のような、手順表やセットアップ表、各種図表が、両面印刷で7枚ほどあり、スムーズなプレイングが期待できます(訳を作らないといけないけど)。ユニットも90年代のゲームらしく、きれいな2色仕上げでグッド。センスがいいなと思ったら、コンポーネントデザインは、あのシモニッチさんでした。

残念ながら、ソロも含めて未プレイですが(AH版だって対戦相手がいないのに!)、いつかプレイしてみようと思っています。落札したら、いつでもお相手しますよ(ルールの翻訳はあります)。その前に、アルンヘムあたりの「赤いきつね」でも、いいけど・・・。
禁じ手マゾシュタイソ
2006年06月04日 13:08
赤でべそさんも仰るとおり、MitsuさんのAARにはいつも、無邪気さと、ゲームへの限りない愛があふれています。
子供が飛行機のおもちゃを手にして、「ヒュー、ババババ!」って声に出して遊んでいるのを目の当たりにしているような。
いやきっと、今回もMitsuさんはプレイしながら「くそっ!右翼の砲をどうにかしろ!」なんて叫んでいたに違いないっす。
YB-TOMMY
2006年06月04日 22:26
こんばんは。
「対戦できる機会はほとんどないでしょうが」と書いていた人から、早速誘いのメールが届きました。「誰の挑戦でも受ける」のは私の方と思われているようで嬉しい限りです。
 最初は「長いな」と思えた記事ですが、読んでいくとゲームの展開がよく分りました。ウォーミングアップにクレタ戦の雰囲気を知るのに適当な文献をご案内していただけませんでしょうか。
mitsu
2006年06月05日 09:39
参考文献は、とりあえず、手に入りやすいものから。
・歴史群像NO.42「クレタ島降下作戦」
巻頭の戦史ドキュメント。図表も多く、とても読みやすいです。おそらく、「クレタ島」関係では、最新の通史記事。
・「ストーミング・イーグルスードイツ降下猟兵戦史」大日本絵画
ドイツ降下猟兵については、もっとも詳しい戦史。臨場感あふれる写真も多く、雰囲気は抜群。が、手記からの引用が多いので、通史というより、副読本として考えると、ベター。
・「第二次世界大戦(上)」中央公論新社
いわずと知れた、リデル・ハートの著名な通史。P228~235に、クレタ戦の記述あり。
・「空挺作戦-Airbone」第2次世界大戦ブック36(サンケイ出版)
古典中の古典(昔はこれしかなかった)。古いけど、イラストがグッド。中古で手に入ることができます。
そのうち、記事にしようと思ってます。
万人向けでなくて、すみません・・・mitsu
2006年06月05日 09:40
>「誰の挑戦でも受ける」のは私の方と思われているようで嬉しい限りです。
ジャンルを問わないTOMMYさんならと、無理を承知で、お誘いしました(笑い)。お声をかけておいてなんですが、決して万人向けなアイテムじゃないんですよ、うんうん。とりあえす、マップ1枚のインストプレイで遊んでやってください。インスト用のオリジナル・シナリオ「マレーメ飛行場」を用意しておきます。あ、これも記事になりそう・・・。

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